ハゼ折りカシメとは、プレスカシメの一種。2枚の板金を重ね合わせて、カシメたい部分(板金の端)に曲げ加工を施した後、プレス機・プレス治具等で平らに潰して締結する加工方法。凹凸が少ないぶん仕上がりが美しく、加工後の強度や安定性にも優れているのが特徴です。
金属には、力を加えて変形させても、力を取り除くと元の形に戻ろうとする性質(弾性)があります。しかし、一定以上の力(弾性の限界を超える力)を加えて変形させると、力を取り除いた後も元に戻らなくなる性質(塑性)があるのです。
ハゼ折りカシメは、この塑性という性質を利用した加工方法。曲げ加工を施した後、カシメたい箇所に一定以上の圧力をかけて変形させ、板金を締結します。
ハゼ折りの曲げ加工の方法は大きくわけて2種類。直角に折り曲げる「角ハゼ」と、中に水や空気が入り込まないようにする「ダクトハゼ」です。因みにダクトハゼは、密閉力の高さから缶ジュースの底にも利用されています。
板金同士をカシメる方法なので、リベットやナット等の副資材を調達するコストを削減できます。また、板金同士を重ねて折り曲げて締結するため、凹凸が少なくて見た目がスマート。ネジやボルト、溶接よりも引っかかりがありません。加工後の強度や安定性にも優れています。
ハゼ折カシメの中でもダクトハゼは密閉力が非常に高く、水や空気が入り込まないようにできるのが魅力。水漏れの心配がないため、パイプやダクトの部品を締結する際に重宝されています。
曲げ加工・カシメ加工という工程が増えるぶん、ほかのカシメ加工方法よりも加工時間がかかるのがデメリット。また、曲げ加工を施す際、失敗すると板金に深い傷がついてしまうため、慎重に加工する必要があります。
洗濯機のステンレスドラムや電子レンジ、炊飯器、ファンヒーターの灯油タンクなど、主に電化製品の部品製造工程で用いられています。また、雨樋やパイプ、ダクトなど、水を通す部品を製作するうえでも役立つ加工方法です。
現在カシメ加工に時間と手間がかかっているなら、作業工程を記録・プログラム管理できるカシメ機にシフトチェンジするのがおすすめです。数値・条件を都度設定する手間を省けるほか、省人化による人員コストの削減やデータに基づいた品質管理にもつながります。
カシメる素材の硬度やサイズ、カシメる目的などによって選ぶべきカシメ機は異なるもの。カシメたい製品に合ったカシメ機を見つけるには、販売しているカシメ機の「加圧力」が幅広いメーカーに相談するのがおすすめです。
次のページでは、「作業工程を記録・プログラム管理できるカシメ機」を取り扱っているメーカーを5社取り上げて紹介しているので、是非チェックしてみてください。
業務効率化・コスト削減を実現する
おすすめの
カシメ機メーカー5選
カシメ機(ハンドピース・専用カシメ機を除く)を販売しているメーカー14社の中から、カシメ条件をプログラム管理できるカシメ機を取り扱っている5社を厳選。
各社の公式サイト、または一般公開されているカタログにスペックが掲載されていた製品を調査して、取り扱っているカシメ機の加圧力の幅が広い順に紹介しています(2021年10月7日時点の調査情報)。
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ノウハウ・提案力なら 吉川鐵工 |
加工精度で選ぶなら 仲精機 |
職人に相談するなら 弘機商会 |
ネジ立てを付けるなら ファブエース |
機械設計力で選ぶなら 千秋技研 |
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特徴 | カシメ技術に関する 特許を150件以上取得 してきた実績がある |
ラジアル方式で カシメのズレや歪みを 0.01mm未満に抑える |
精密カシメ盤製造歴 50年以上の職人が 在籍している |
クリンチングナットやスタッド、スペーサーをカシメられる | トヨタ自動車東日本 株式会社の技術開発賞 を受賞している |
取扱製品の 加圧力の幅 |
0.3kN~196.0kN | 0.5kN~100kN | 0.1kN~50kN | 0.5kN~50kN | 1.2kN~15kN |
試作対応 | 3拠点 (東京・愛知・大阪) |
要問合せ | 2拠点 (東京・タイ) |
要問合せ | 2拠点 (愛知・秋田) |
公式HP |
※取扱製品の加圧力の幅、スタンド型カシメ機(独立したタイプのカシメ機)とユニット型カシメ機(専用機に取り付けられるカシメ機)の種類、試作対応の拠点数については、各メーカーの公式サイト、または一般公開しているカタログにスペックが掲載されていた製品データをもとに算出しています(2021年10月7日時点の調査情報)。